"隠れ脂肪肝"が危ない

先日、NHKスペシャルで「隠れ脂肪肝が危ない」という番組が放映されました。

私は見ていなかったのですが、患者さんからの反響が大きく見たいなと思っていたところ、患者さんがDVDにコピーしたものを持ってきてくれました。

ここでは、
1.検診などの採血では肝機能異常を認めない人でも脂肪肝の人がいる。
2.脂肪肝から肝硬変、肝臓癌になることがあるので注意が必要である。
3.脂肪肝からの脱却のためには、食事、運動が大事である。
4.食事としては大豆が良い。
5.運動はまず筋トレを行ってから有酸素運動をすると良い。
との説明であった。

脂肪肝の診断をフィブロスキャンという肝臓の硬さを調べる検査で行っていましたが、通常は腹部超音波で診断することが多いです。
腹部超音波で脂肪肝の診断が出来ない例があるとの説明があり、確かにそうだと思うのですが、フィブロスキャンの精度はどの程度なのかなと気になりました。
どなたか知っていたら教えて下さい。

いままで、肝障害の中ではC型肝炎B型肝炎が大事でした。
治療が進歩し、内服薬の投与でほとんどC型肝炎ウイルスが消せるようになりました。
B型肝炎も母子感染が減り、新規発症が減っています。
発癌の原因としては、長らくC型肝炎がトップでB型肝炎が2番目でしたが、最近は脂肪肝脂肪肝炎からの発癌が増え2番目の原因になっていると推測されています。
脂肪肝の母数が増え続けており、今後も脂肪肝炎からの肝がん発症は増えると予測されています。

このような背景があり、肝臓専門医の間でも関心はC型肝炎B型肝炎から脂肪肝脂肪肝炎に移りつつあります。
ただ、脂肪肝脂肪肝炎の厳密な区別は侵襲的な検査である肝生検をしないといけないこと。脂肪肝脂肪肝炎の良い薬物治療がないことからもどかしい思いを抱えているのが実情です。
結局、食事と運動が大事ということに行き着いてしまいます。
脂肪肝炎の治療法も現在開発中とのことですので、早く市場に出て脂肪肝炎からの発癌が減ることを願っています。