ヘリコバクターピロリ抗体検査の注意点

ピロリ菌の検査法にはいろいろあります。

まず、除菌判定に用いるのは尿素呼気試験(UBT)が基本になります。

息を吐いて、薬を飲んでもう一度息を吐くという検査です。

これに匹敵する精度を持つとされるのが、便ピロリ抗原検査です。

診断では、上記2つ以外に血清ピロリ抗体、尿ピロリ抗体、迅速ウレアーゼ、鏡検法、培養法なども用いられます。

なかでも、血清ピロリ抗体は簡便なので、検診を含め多く使われている検査です。

 

検査は、どの検査も精度が100%ということはなかなかないので、その限界を正しく知る必要があります。

従来の血清ピロリ抗体は、カットオフ値が10で、10未満でもピロリ陽性者がいるということが知られていたのですが、現在のラテックス法になってから(だいたい2000年4月から)はカットオフ値10以上の陽性者でも実はピロリ菌が胃内にはいない(偽陽性)という方が結構います。

 

内視鏡検査でピロリ菌がいそうと判断できればよいですが、いないと考えられた時や微妙な場合は、尿素呼気試験などを行って本当に要るのか確認した方が良いです。

当院でも、検診などでピロリ抗体陽性と判断されて、胃カメラで本当かな?と思って尿素呼気試験で陰性が確認された人は結構います。10人は超えているのではないでしょうか。

ここを間違えてしまうと、ピロリ菌除菌群とピロリ菌陰性群ではその後の胃がんのリスクが異なり、胃カメラの必要性、頻度が変わってきてしまうので注意が必要です。